意外と知らない「スマートコントラクト」について具体例を使って解説!

スマートコントラクト

イーサリアムなどのブロックチェーンを活用した各種サービスが動く仕組みを理解するために重要な概念が「スマートコントラクト」です。

しかし、スマートコントラクトという言葉は知っていてもどのような概念かよくわかっていない人も多いようです。

この記事ではスマートコントラクトが活用されているサービスの中で、わたしたちの日々の経済活動と密接に関係がある「保険」の例を使って解説していきます。

スマートコントラクトへの理解が深まれば、未来の生活がより効率的かつ便利になることが想像できるでしょう。

米レモネード社がパラメトリック保険の提供を開始

2022年3月、米インシュアテック企業のLemonade(レモネード)社がアフリカの小規模農家を洪水や干ばつなどの気候リスクから保護するために、パラメトリック保険を提供する予定との発表がありました。

パラメトリック保険とは、ブロックチェーン技術を活用した保険で、損害と因果関係のある指標が保険契約時の条件を満たした際に、あらかじめ決められていた保険金が支払われる保険商品です。

パラメトリック保険は、従来の保険の課題を大きく改善する可能性を秘めています。

従来の保険では、事故や災害によって保険金支払いの事由となりうる損害が発生した際、損害状況の査定が必要でした。

査定によって損害の程度を見定めた結果、支払われる保険金の額が決まる仕組みになっています。

しかしこのやり方では、査定が終わるまで保険金の支払いがなされないことや査定に人件費がかかる等の課題がありました。

そこで開発されたのがブロックチェーンのスマートコントラクト機能を用いたパラメトリック保険です。

スマートコントラクトとは?

パラメトリック保険を例にスマートコントラクトの仕組みについて解説します。

スマートコントラクトは「事前に定められた条件を満たすことで、ブロックチェーン上で契約が自動的に実行される仕組み」のことです。

事故や災害が起きた時に支払う保険金の額は、これまでは人が行う査定によって決められていました。

しかしパラメトリック保険では、スマートコントラクトの仕組みを使って「保険金支払い条件」を事前にプログラム上で組んでおき、その条件が発生したら自動的に保険金が支払われるようにできるのです。

  • 日照時間の長さ(作物の育成に不十分な日照の日が続くことで支払われる)
  • 河川の水量(十分な水量が確保できない場合に支払われる)
  • 害虫の発生(作物の不作に害虫が与えている影響が一定水準を超えると支払われる)

これはあくまで想定される事例であり、実際にLemonade社が定める基準ではありませんが、一般的なイメージではこのようになります。

現在では気象や災害に関するデータは人工衛星等のおかげで人間の力をほとんど必要とせずに取得できます。

そして人工衛星が取得した気象データが上で述べた保険金支払い条件に該当していれば、ここでも人の手を介することなくプログラム上で自動的に保険金の支払いが行なわれます。

このように、あらかじめ決められた条件を満たすことで自動的に契約内容を実行できるのがスマートコントラクトです。

これは保険以外にも事前にプログラムの内容を組むことで様々なサービスに応用することができます。

スマートコントラクトの普及が生活に与える影響

今後、保険以外にも多くのサービスでスマートコントラクトが用いられる可能性があります。

身近なところでは行政サービスなどにも使われるようになるはずです。

行政サービスでは、本人確認情報の入力・記入を起点としてサービスを利用できる場面が数多くあります。

人による確認が必要な場面はどこかのタイミングで生じますが、入力情報がブロックチェーン上の情報と合致した瞬間にサービスが提供されます。

ブロックチェーン上の情報は改ざんが極めて困難なため、その点においても行政サービスとは好相性です。

今から数年のうちにわたしたちの身の回りには、スマートコントラクトを用いたサービスが溢れるようになるかもしれません。