ジェネラティブと呼ばれるNFTアートの形態を知っていますか?
NFTが盛り上がり始めた2021年の夏以降、日本で最初に人気が出たNFTはイラストレーターが丁寧に描き上げた1点物のアートでした。
それに対して海外では、ジェネラティブと呼ばれるNFTコレクションが圧倒的な人気を誇ります。
取引高や世の中への影響力においては、1点物のNFTコレクションとは比べ物にならない大きさです。
この記事では先日、日本発のジェネラティブNFTコレクションとして話題になった「Neo Tokyo Punks(ネオ・トーキョー・パンクス)」というNFTを例にして、ジェネラティブNFTについて解説します。
日本発ジェネラティブNFTとして成功を収めたNeo Tokyo Punks
画像出典:Neo Tokyo Punks
Neo Tokyo Punksは2022年3月末にリリースされた日本発のジェネラティブNFTコレクションです。日本のイラストレーター・NIKO24氏が日本らしいアニメ調テイストで描いています。以下のOpenSeaのサイトからぜひ実際の作品をご覧ください。
プレセール・パブリックセール合わせて発行点数2,222点、そのすべてが販売開始直後に完売しました。
プレセールで0.03ETH、パブリックセールで0.05ETHで発行されたNFTは現在、フロア価格が約0.4ETHになっています。
販売開始から2週間程度は1ETHまで価格を伸ばすこともあり、総取引額もまもなく4億円に届くところまで来ています。
また、Neo Tokyo Punksは海外の投資家にも受け入れられている点も特徴的です。リリース前からTwitter等で告知をする際も、基本的に発信内容は英語で書かれていました。
現在Neo Tokyo PunksのNFTをTwitterアイコンに設定しているNFTホルダーの中にも、海外ファンが多数散見されます。
海外向けのNFTマーケティングでこれほど大きな成功を収めた点も、これまでの国産NFTにはなかった特徴です。
ジェネラティブNFTとは?
ジェネラティブNFTはNFTコレクションの形態の1つです。
海外ではCryptoPunksやBAYC(Bored Ape Yacht Club)などが非常に高額なジェネラティブNFTとして有名です。
ジェネラティブNFTには以下のような特徴が見られます。
- 複数に分かれたパーツで構成されるデザイン
- AIがそれらのパーツをランダムに組み合わせてデザインを自動生成する
- 作品点数が非常に多い(数千点〜1万点越えのものも)
AIが自動生成したNFTと聞くと、あまり面白みがないように感じられるかもしれません。
特に日本ではアニメやマンガなどのポップカルチャーが根強く浸透しています。クリエイターが丁寧に作り上げたクオリティの高いアニメイラストを日常的に見る機会も、海外に比べ非常に多いです。
ゆえに日本では機械的に作られたジェネラティブNFTは流行らないと言われてきました。
しかし、この風潮に風穴を開けたのがNeo Tokyo Punksです。
ジェネラティブNFTにより資金調達やビジネスの形態が変わる
Neo Tokyo Punksの成功は、これまでにない多大な影響を日本のNFT市場にもたらすでしょう。
中でも注目すべきは「NFTが大規模なビジネスになり得ることを証明した」点です。
先ほど述べた通りNeo Tokyo Punksは、すでに4億円近い売上があります。
これは二次転売の価格も含まれているので4億円すべてが制作者に入るわけではありませんが、それでも数千万円〜1億円程度の資金調達に成功しているはずです。
ジェネラティブNFTは作品点数が多いこともあり、うまくコレクション販売を軌道に乗せれば短期間で莫大な資金を調達できる手段になります。
作品点数や初期の販売価格を調整することで、コレクション立ち上げから1ヶ月程度で数億円単位の資金を集めることも可能です(もちろん、誰でも簡単にできるわけではありませんが)。
これまでのビジネスにおける主要な資金調達の手段には、株式によるものがあります。ですが、立ち上げて数週間のプロジェクトが株式でいきなり数億円の出資を受けることはほぼ不可能です。
ところがNFTを介することで、短期間で莫大な額の資金調達をすることも不可能ではない時代になりました。
ジェネラティブNFTは単なるアートの域を越えて、Web3時代のビジネスの形態を作り出す新しい基盤となる可能性があるのです。