アートの意外な価値?NFTの実用的な使いみちについて解説

エヌエフティーアート-実用的-使い方

「NFTって結局のところ、ただの画像データでしょ?それ自体は何の役にも立たないよね?」

NFTに懐疑的な人たちからは、今でもこのような意見を耳にします。

NFT自体は「代替不可能な唯一無二のデジタルデータ、あるいはその技術の総称」であり、必ずしも今流行りのNFTアート作品を指すとは限りません。

しかし実際は、アート以外でのNFTの利活用が話題に上がることは少なく、「NFT=アート」の認識を覆すのは難しい状況です。そしてアートとしてのNFTであれば、SNSアイコンに設定するくらいの用途しか思い浮かばない人も多いのではないでしょうか。

NFTを購入したことがある人でさえも、「描かれたイラストが気に入って買ったけど、これに価値があるのかと聞かれたらよくわからない」と感じている人も少なくないはずです。

ところが、NFTアート作品にも実はすでに実用的な使い道があります。それは「担保資産としての活用」です。

この記事では、実在するNFTレンタルサービスについて簡単に触れた上で、担保資産としてのNFTアートの活用について解説します。

無担保型NFTレンタルサービス『Rilascio』がテストネット版をリリース

画像出典:PR TIMES

synschismo(シンシズモ)株式会社は、NFTの機能性と資産性を両立する無担保型NFTレンタルプロトコル「Rilascio(リラシオ)」のテストネット版をリリースすることを決定しました。

Rilascioは、NFTを貸し出すことで収益を得られるプラットフォームです。

NFTを金融の領域と掛け合わせて生まれた概念をNFT-Fi(エヌエフティファイ)と呼びます。NFT-Fiでは、デジタル資産のNFTを担保として預け入れることで、イーサリアムなどの暗号資産を借りることができます。

それでは、NFTを活用した資金の貸借の流れを具体的に見ていきましょう。

NFT-Fiにおける担保としてのNFT活用法

銀行からお金を借りる際に土地などを担保として扱うことができるのは、その土地に借入額相当の金銭的な価値があると認められているからです。

同様に、NFTもすでに金銭的な価値が認められているものがあり、NFTを担保としてお金を借りることができます。

あるNFT-Fiプラットフォームでは、以下の流れでNFTを担保に資金の貸し借りができる仕組みを組んでいます。

資金を借りる側(NFT保有者)

NFTを保有している人は、以下のような手順でNFTを担保に資金を借り、その資金を運用して増やすことができます。金額は一例です。

  1. NFTを担保に入れて10ETHを借りる(返金時は利息込みの11ETHを返す)。
  2. 借りたETHを運用して12ETHに増やす。
  3. 11ETHを返却し、運用で増えた1ETHを手にする。担保NFTも手元に返却される。

資金を借りる側がNFT-Fiを利用するメリットは、「NFTが運用益を生み出してくれること」です。

暗号資産を運用して利息を得ることは、以前から行われていました。これに対し、NFTは保有していても利息を生むことはありません。NFT保有者は、NFTを自分のウォレットの中で眠らせておくしかありませんでした。

ところがNFT-Fiの登場により、NFTも運用益を生み出す「種銭」としての活用が可能になりました。借入額はNFT自体の売買額によって決まるため、あまりに安価なNFTの場合は担保資産とは認められません。それでも、これまで使いみちのなかったNFTが担保資産として活用可能になったことは、大きな進歩と言えます。

資金を貸し出す側

一方、資金を貸し出す側の流れは以下の通りです。

  1. 担保としてプラットフォームに掲載されているNFTの中から、購入してもよいと思うものを探す。
  2. 貸し付けたETHが返却されなかった場合に、その担保NFTを買い取ってもよいと思える金額でETHを貸し出す(この例では、返却時に11ETHを返してもらう約束で10ETHを貸している)。
  3. 【返却された場合】11ETHを受け取り、NFTは保有者に返却する。貸し出した10ETHが11ETHに増えたことになる。
  4. 【返却されなかった場合】10ETHは返って来ない代わりに、担保NFTを買い取ることができる。事実上、自分が提示した10ETHでNFTを買い取ったことになる。

資金を貸し出す側のメリットは、上記の通り2つのパターンがあります。

資金が返ってきた場合は、利息を手にすることができます。上記の例では、貸し出した10ETHと返金された11ETHの差額がこれにあたります。

逆に資金が返って来なかった場合、担保NFTをそのまま手にすることができます。この例では10ETHでNFTを買い取ったことになります。10ETHという金額は「もし資金が返って来なかった時は、この金額で買い取ってもよい」という判断に基づいて自分から提示しているため、貸し手側にも損失はありません。むしろ、買いたいと思っている高額なNFTを手にするチャンスとも言えます。

NFTはすでに金融商品として認められている

NFT-Fiでは、扱う担保がNFTであり貸し出すお金が暗号資産である点は目新しいですが、仕組み自体は既存の金融システムと大きくは変わりありません。

NFT-Fiを提供しているサービスはまだ少数ですが、NFTの発展とともに新規参入企業も増えるでしょう。

NFTでお金が借りられるという事実は、NFT自体に価値が認められた揺るぎない証拠です。

今後、金融商品としてNFTの活用が進むにつれて、NFTはわたしたちの生活の中でより身近なものになるはずです。