電気自動車のテスラや宇宙開発のスペースXなど、世界に多大な影響を与える事業を営んでいるイーロン・マスク氏。
彼がTwitter社を買収するという情報が初めて報道されてから、半年以上の期間を経てようやく買収が実現しました。
マスク氏は仮想通貨(暗号資産)にも以前から関心を示しており、Twitterで彼が一言つぶやくだけで特定の通貨の価格が急上昇する現象などは、もはやミームと化しています。
そのマスク氏がTwitterを買収したことでより一層動きが加速すると思われるのが、SNSと仮想通貨を結びつける取組みです。
この記事では、仮想通貨がSNSに今後組み込まれる場合、どのようなユースケースが想定されるかについて考察します。
SNSに仮想通貨(暗号資産)ウォレット機能が搭載される
TwitterのアイコンにNFT画像を設定できるようになったり、InstagramでもNFTの取り扱いが始まったりするなど、各種SNSで仮想通貨(暗号資産)やNFTが着々と導入されつつあります。
その中で、今後最も大きなインパクトを生み出すと考えられるのが「仮想通貨ウォレット機能」の搭載です。
現在、仮想通貨やNFTを日常的に利用しているユーザーの多くは、メタマスクなどの仮想通貨ウォレットを利用しています。
NFTマーケットプレイスなどのWebサイトで仮想通貨を用いた決済を行うときは、仮想通貨が入っている自分のウォレットをそのサイトに接続することで支払いを行っています。
そして今後、TwitterやInstagramなどのSNSにおいても、仮想通貨で商品の売買、及び決済ができるようになると考えられています。
各SNSが独自の仮想通貨ウォレットを実装するフェーズまで一足飛びで進む可能性もありますが、現実的にはやはりメタマスクなどの外部ウォレットを各SNSに接続して利用する段階を挟む可能性が高いのではないでしょうか。
いずれにせよ、SNS上で仮想通貨ウォレットを扱えるようになることで、AmazonなどのECサイトを使うことなく、SNS上で商取引が行える環境が実現すると思われます。
SNS上で仮想通貨(暗号資産)決済が実現することのメリット
SNS上で商取引が行われ、仮想通貨(暗号資産)を用いて決済まで完了する仕組みが実現した場合、これは既存のECサイトとは次元が違う体験をユーザーに提供することになります。
SNS上で仮想通貨を用いた決済が実現することのメリットは以下の2点です。
- 決済時に手数料がかからない
- リアルタイムで着金する
これはいずれも革命と呼べるような出来事です。順に解説します。
決済時に手数料がかからない
まずは、決済時に手数料がかからなくなる点です。
Web2と呼ばれる現在のインターネットの仕組みでは、商取引におけるあらゆる場面で手数料を中抜きする主体が存在します。
その代表的な存在がクレジットカード会社です。
私たちはカードを使って決済をする時、毎回数%の手数料をカード会社に対して支払っています。
「現金がなくても決済ができる」
「カード1枚の情報があればどのサイトでも決済ができる」
という利便性と引き換えに、私たちは決して安くない手数料をカード会社に支払っているのです。
ところが、仮想通貨を決済に利用することで状況は一変します。
仮想通貨がごく一般的に利用されるようになれば、ユーザーは自分のウォレットに仮想通貨を入れて、それを各サイトにつなぎさえすれば決済ができるようになります。
つまりカード会社を介することなく、商品の販売者に対して仮想通貨によるダイレクトな支払いが出来るのです。
その結果、クレジットカード決済のように途中で手数料を中抜きするタイミングがなくなるため、私たちは決済手数料を払う必要がなくなります。
リアルタイムで着金する
次に、リアルタイムで着金することも非常に大きな変化です。
私たちがクレジットカードで支払いを行った場合、銀行口座から引き落とされた商品代金はまずカード会社の手元に渡ります。そこで手数料を取られたのち、商品の売り手に代金は渡ります。
つまり事業者の視点で考えると「商品を販売しても売上はすぐに入って来ず、実際に売上が振り込まれるのは商品の販売から1,2ヶ月経ってから」ということが当たり前に起こっているのです。
ところが、仮想通貨を用いた決済であればこういった事象は解消されます。
お客さんのウォレットからお店のウォレットに仮想通貨で直接支払いが行われ、その支払いは即時着金します。
現金決済と同じように「その場で代金を受け取る」ことが、デジタルの世界でも実現するのです。
事業者としては、本来すぐに自分の手元に入って然るべき売上が、カード会社の手に一旦渡ってしまうことは非常に不便であり、不安でもあります。
しかし、仮想通貨を決済に用いることで、この問題は容易に解決することになります。
このように、SNSに仮想通貨の利用システムやウォレット機能を組み込むことで、既存の電子決済の常識を打ち破る革命的なシステムが実現する可能性があるのです。