歩いて仮想通貨を稼げるSTEPNは日本でも爆発的な人気を見せました。しかし、Play to Earn(ゲームで遊んで仮想通貨を稼ぐ)を目的とした他のNFTゲームは、必ずしも日本で流行っているとは言えません。
その現状に風穴を開けるかもしれない動きが最近見られました。それは、DEAPCoin(DEP)と呼ばれる仮想通貨が、国内暗号資産取引所BITPOINTに直接入金が可能になったというものです。
DEPは、シンガポールを拠点を置くDigital Entertainment Asset(DEA)社が運営するGameFiプラットフォーム「PlayMining」で流通している仮想通貨です。PlayMining内のNFTゲームで遊ぶことで、プレイヤーはDEPを稼ぐことができます。
この記事ではDEPとBITPOINTに関する一連の動きを通じて、日本におけるPlay to Earnの普及を阻害するもの、及びPlay to Earn発展のカギとなる要素について解説します。
DEPがBITPOINTで入金可能に

画像出典:PR TIMES
DEPは2022年1月にBITPOINTに上場しました。これにより、国内取引所でDEPが売買可能になりました。
しかし、これはあくまでトークンとしてのDEPが売買可能になったに過ぎません。
Play to Earnのゲーム内で稼いだ仮想通貨は、最終的に自分が使う法定通貨(日本であれば円)に換金できないと意味がありません。ところが日本では「稼いだ仮想通貨を日本円にする」には非常に手間がかかります。
PlayMining上で稼いだDEPも、これまでは国内の取引所に直接送ることができませんでした。そのため、PlayMiningのウォレットからまずは海外取引所(Binanceなど)の口座にDEPを送金し、そこで他の通貨に替えた上で国内取引所の口座に出金する必要がありました。
そこでDEA社は、ゲーム内で稼いだDEPをより簡単に日本円に替えることができるようにと、2022年6月8日よりDEPを国内取引所BITPOINTに直接送金できる機能を設けたことを発表しました。
これにより海外取引所を経由せず、PlayMiningから直接BITPOINTにDEPのまま送金し、BITPOINT上でDEPを日本円に換金して出金することが可能になりました。
日本でのPlay to Earn普及を阻害しているもの
日本でのPlay to Earnゲームの普及を阻害する要因の1つが「出金・換金にかかる手間」です。これはDEPのみならず、多くのPlay to Earn銘柄に見られる課題です。
例えば、STEPNが最初に実装されたSolanaチェーンで扱われる通貨「SOL」の場合、STEPNアプリからSOLのまま送金できる国内取引所はLiquid by FTXのみです。つまり、Liquid by FTXの口座を持っていないユーザーは、海外取引所を経由しない限り、STEPNで稼いだ仮想通貨を日本円に換金することができません。
人気のSTEPNでさえこの状況ですから、他のゲームの多くは当然のように海外取引所の口座が必要です。
海外取引所を経由することは単純に余計な手間が増えると同時に、英語にあまり強くない日本人にとって、Play to Earnをよりとっつきにくいものにしている大きな要因であると言えます。
「使いにくさ」を日本は克服できるか
Play to Earnゲームに限らず仮想通貨の取扱い全般に言えることですが、「使いにくさ」を克服できるかどうかが、今後日本でこの産業が発展するためのカギになります。
「ゲームで遊んでお金を稼ぐ」という画期的な体験が生み出されているにもかかわらず、換金しにくいという単純な理由が日本人をこの世界から遠ざけてしまっています。
食料・原材料価格の高騰や急速に進む円安、一方で給与は上がらない日本の現状を考えると、円ではなく仮想通貨を直接稼げるPlay to Earnは、日本人にこそ必要なサービスになるかもしれません。そのPlay to Earnが非常に使いにくい状況に置かれてしまっているのは、とても残念なことです。
ぜひともこのDEPの動きを機に、他のPlay to Earnサービスもより使いやすいものに変わっていくことを願うばかりです。