2022年12月28日、この年の下半期最大の注目を浴びたと言っても過言ではないNFTプロジェクト「Live Like A Cat(通称:LLAC)」がリリースされました。
国産のジェネラティブNFTコレクションではほぼ前例がないフロアプライス4.69ETHという水準まで価格が上昇した後、現在も約3ETHを価格下支えのラインとして推移しています。

LLACに限らず、2022年にリリースされたプロジェクトの中でいわゆる「格安ミント」と呼ばれる作品の多くは、ホルダーがNFTを手放さずに「ガチホ」を続けています。
このガチホ(ガチでホールドする)という戦略は、NFT投資において有効な戦略なのでしょうか。
この記事では、LLACリリース前後にTwitterでも話題となったガチホ文化に加え、他の投資手法も含めてNFT投資のスタンスについて考察します。
期間の長短によって分類される投資スタンス
まずは株式投資やFXなど、伝統的な投資商品における投資スタンスを確認しておきましょう。
具体的には、投資期間によってそのスタンスは大きく3つに分類されます。
- 短期投資(デイトレード・スキャルピング)
- 中期投資(スイングトレード)
- 長期投資(ガチホ)
デイトレードやスキャルピングは極めて短期の投資手法です。
デイトレードは1日の中で複数回の取引を行って利ざやを取り、1日の終わりには取引を手仕舞う手法です。時には日をまたいで翌日に持ち越すこともありますが、基本的には1日1日で完結します。
スキャルピングはさらにスパンが短く、分単位、あるいは秒単位でチャートの動きを見て細かくトレードをしていく方法です。
これよりも長いスパンで投資を行うのがスイングトレードです。
スイングトレードは基本的に日をまたいで投資対象の資産を保有し続けることが多く、その期間は1週間から数週間程度に及ぶのが通例です。
これよりも長い期間に渡って資産を保有し続けるのが長期投資となり、半年から1年、時には数年単位で資産を持ち続けることもあります。
現在のNFT界隈の投資スタンスは「ガチホ」か「ペパハン」
NFTは新しい産業であるため、確固たる投資スタンス像はまだ形成されていません。
その中で、現在主流となっているNFT投資の考え方には大きく2つの種類があります。
それが「ガチホ」と「ペパハン」です。
ガチホとは「ガチでホールドする」ことを指します。
短期的にNFTを売却することはせず、少なくとも半年から1年、あるいはそれ以上保有し続けることを見越してNFTを持ち続ける手法です。
これに対し、「ペパハン」と呼ばれるスタンスもあります。
これは「ペーパーハンド」の略称であり、最近になってTwitterなどで見かけるようになった言葉です。
先ほど述べたガチホ勢(=NFTをそう簡単には売らない人)を「ダイヤモンドハンド(ダイヤモンドのようにガッチリと固い手で投資対象を持ち続ける)」と呼ぶのに対し、仕込んだNFTの価格が少し上がったらすぐに売り抜ける人のことをペーパーハンド(紙のように薄く握力が弱い手)と呼びます。
ペーパーハンドの人は長期的な目線でNFTプロジェクトが育つのを待つことはしません。
リリース直後など価格が一気に上昇しやすいタイミングなどを狙い、小さく利ざやを取っては次から次へと新しいプロジェクトに乗り換えていきます。
ガチホとペパハン、これはどちらが良い悪いという類のものではなく、自分がどのようなスタンスでNFT投資に臨むかによって自由に選択できるものではあります。
産業の発展を望むならガチホを貫くのが吉
しかしながら、NFT産業の長期的な発展を望むなら、ペパハンはあまりオススメできる手法ではありません。
ペパハンはいわばマネーゲームであり、投資というよりは投機に近いためです。
NFT産業が今よりも数倍の市場規模になれば、取引の流動性を生むために一定のペパハン勢は存在した方が良いというのは事実です。
しかし現在の日本のNFTの市場規模では、NFTの価格が上がったらすぐに売り抜けるというプレイヤーが多すぎるとフロア価格も上昇せず、その結果次第に取引量も減ってプロジェクトは縮小していきます。
一方、ガチホをするプレイヤーが多ければ、フロア価格も簡単に下がることはなく、ゆえに投資対象としても魅力的な状態が維持され、より多くのプレイヤーがそのプロジェクトに集まってきます。
どのようなスタンスを取るかは個人の自由ですが、長期保有をする方がリターンも大きくなりやすい傾向にあるため、ガチホを貫くことが結果的に得につながることは多いでしょう。
本記事の筆者もCNPやLLACといった有望なNFTは、一度も売却したことはありません。その結果、NFT投資の平均リターンは約50倍にまで膨れ上がっています。
今後注目すべきはスイングトレード
ここまでの考察の中に登場していないのが、NFTのスイングトレードです。
現状では、NFTのスイングトレードを行うのは難しい部分があります。
具体的には、プロジェクトの運営から発せられるファンダメンタルの情報が価格に与える影響が大きいことや、流動性の小ささゆえにトークンや株式投資で用いられるテクニカル分析の指標が完全には機能しないことが理由として挙げられます。
しかし、昨今では発行数1万点を超えるようなプロジェクトが増えてきたため、日本のNFT市場全体として見た場合の流動性は向上しています。
流動性が高まればテクニカル分析の指標も少しずつ機能するようになり、また運営が出すファンダメンタルの情報が価格に与えるインパクトもこれまでよりは小さくなります。
ガチホもペパハンも自分の性に合わないという方は、数日から数週間単位に渡って取引を行う「NFTのスイングトレード」を今のうちから実践してみるのも良い試みかもしれません。