いま話題の「ゴブリンNFT」に学ぶNFTのミームとは?

ゴブリン_エヌエフティー_ミーム

NFTコレクションの中には、「なぜこのNFTが人気なの?」と疑問に思ってしまうものが珍しくありません。

世界的に有名かつ高額なサルのNFT「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」も、NFTのことをよく知らない人から見れば単なるサルのイラストにすぎません。

CryptoPunks」に至っては、ただのドット絵の画像が数百万円〜数千万円で取引されるのですから、世間的には狂気の沙汰と思われるでしょう。

そして先日、NFTを見慣れてきた人の目にも「さすがにこれが人気になる理由はわからない」と映るNFTコレクションが誕生しました。それが「goblintown.wtf」です。通称、ゴブリンNFTと呼ばれています。

イラストとしてもかわいらしさやかっこよさもなく、むしろ醜悪に見えるゴブリンNFTが、なぜいきなり高額で取引され、人気になったのか。この記事ではゴブリンNFTを通じて、NFTの世界でよく見られる「ミーム」という現象について解説します。

goblintown.wtfとは?

goblintown.wtfはOpenSeaに出品されているNFTコレクションです。

9,999点の作品で構成される大規模なジェネラティブNFTで、現在の最低取引価格は3.15ETH(約45万円)。この記事の執筆時点では仮想通貨市場が暴落していますが、その状況でも総取引額は約5億5,000万円を記録している世界トップクラスのNFTです。

ところが、OpenSeaに並ぶ画像は以下の通り、醜いゴブリンのイラストです。

画像出典:goblintown.wtf

このゴブリンをかわいいと感じる人もいるかもしれませんが、多くの人にとって「ぜひともほしい!」と思う画像ではないはずです。

その上、「ロードマップなし・Discordなし・実用性なし」と、常識的に考えれば悪い方向で三拍子が揃っています。

  • ロードマップなし(この先のビジョンが見えない)
  • Discordなし(ユーザーとコミュニケーションをとる場がない)
  • 実用性なし(NFTはコミュニティの会員権的な役割を持つこともあるが、それもなし)

これだけを見ると、このNFTを欲しがる理由は全くないように思えます。それでも、億を超える取引が発生しているのはなぜでしょうか。

NFTの世界で見られる「ミーム」とは?

ゴブリンNFTのように、「見た目も微妙で、実用性もない」NFTが、なぜか世界的に人気が出ることは珍しくありません。

インターネットの世界には元々「ミーム」と呼ばれる文化があります。ミームとは、ネタ要素が面白おかしく動画・文章・画像の形式で拡散する風潮をさします。

SNSの発達と共にこれまでも様々なミームが生まれてきました。特にTikTokのようなネタ要素が強めのショート動画は、ミームを生み出しやすい傾向にあります。

そしてNFT、あるいは仮想通貨の世界でもミームは頻繁に発生します。

Dogecoin(ドージコイン)という仮想通貨は、米テスラ社CEOのイーロン・マスク氏をはじめ、有名人がDogecoinをネタにしたツイートをする度に価格が上下することがよく起こります。

また、NFTコレクションのミームとして2022年1月に世間を賑わせたのがGhozali Everyday(ゴザリ・エブリデイ)です。

画像出典:Ghozali Everyday

Ghozali Everydayはインドネシアの青年、ゴザリ君が5年間(2017 – 2021)に渡って自撮りした写真をNFTにして出品し、一瞬で完売したコレクションです。

こちらもゴブリンNFT同様、実用性も特にない、ただの青年の写真です。ところがGhozali Everydayがリリースされた際、NFT界隈は大いに盛り上がり、これを真似た自撮り画像のNFTコレクションが生まれるほどの人気を見せました。

盛り上がるためには意味なんて必要ない?

NFTはデジタルデータの唯一無二性を証明できる技術です。アートに限らず様々な方面での実用可能性があり、NFTという技術自体が無意味なわけではありません。

しかしNFTアートに限っていえば、ゴブリンNFTやゴザリ君のNFTのように、実用性もなくデザインも万人受けしないNFTでも、一度お祭り騒ぎが発生してしまえば意味もなく盛り上がることがあります。

NFTが持つミームという特性を理解しておけば、「今なぜこのNFTコレクションが人気なのか」を理解する手助けになるかもしれません。